登記費用のお問い合わせもこちらからお受けしております
創立総会
募集設立の場合、設立時募集株式の払込完了後に創立総会を開催し、設立時株主によって会社の設立に関する事項を決議し、設立時取締役等は設立に関する報告をします。
1.招集
(1) 招集権者
発起人が創立総会を招集します。
(2) 時期
① 払込期日又は払込期間の末日のうちもっとも遅い日以後、遅滞なく
② 発起人が創立総会の必要があると認めたとき
(3) 創立総会の招集に関する事項
発起人は創立総会の招集に関して、次の事項を定めます。
① 日時と場所
② 目的
③ 書面投票ができる旨
→ 設立時株主が、書面により議決権を行使できる旨を定めることができます
④ 電磁的方法による投票ができる旨
→ 設立時株主が、電磁的方法により議決権を行使できる旨を定めることができます
⑤ 会社法施行規則9条で定める事項
(4) 通知
① 通知を発する時期
・ 原則 創立総会の2週間前まで
・ 例外1 創立総会の1週間前まで
→ 非公開会社で取締役会設置会社の場合(※)
・ 例外2 創立総会の1週間未満(ただし、定款の定めが必要)
→ 非公開会社で取締役会を設置していない場合(※)
※ ただし、例外1又は2の場合であっても、書面投票又は電磁的方法による投票ができる旨を定めた場合は、創立総会の2週間前まで
② 通知の方法
・ 原則 適宜の方法
・ 例外 書面(又は電磁的方法(設立時株主の承諾を得た場合))
→ 取締役会設置会社の場合
または
書面投票又は電磁的方法による投票ができる旨を定めた場合
③ 招集手続きの省略
設立時株主全員の同意がある場合は、招集手続きを省略することができます。
ただし、書面投票又は電磁的方法による投票ができる旨を定めた場合は、招集手続きを省略することはできません。
④ まとめ
|
取締役会 |
①通知を発する時期 |
②通知の方法 |
|
||
|
設置 or 非設置 |
●書面又は電磁的方法による投票ができる旨の定め● |
||||
あり |
なし |
あり |
なし |
|||
公開会社 |
設置 |
|
|
|
|
|
書面 |
|
|||||
※ |
2週間前まで |
又は |
|
|||
取締役会の設置義務がある |
電磁的方法 (設立時株主の承諾を 得た場合) |
|||||
|
|
|||||
|
|
|
||||
非公開会社 |
設置 |
|
1週間前まで |
|
|
|
★短縮不可
|
||||||
非設置 |
|
1週間前まで |
|
適宜の方法 |
||
★定款で 1週間未満 に短縮可能
|
||||||
|
③ 招集手続き の省略 |
●書面又は電磁的方法による投票ができる旨の定め● |
||
あり |
なし |
||
株主の同意 |
全員の同意あり |
省略できない |
省略できる |
一部の株主の同意のみ |
|
|
|
|
2.決議要件
(1) 議決権
設立時株主は引受けた設立時発行株式1株につき、1個の議決権を有します。ただし、定款で単元株式数を定めている場合には設立時発行株式1単元につき1個の議決権となります。
(2) 決議
① 普通決議
(条件)
a 議決権を行使することができる設立時株主の議決権の過半数
及び
b 出席した設立時株主の議決権の3分の2以上
(例1)
・ 議決権を行使することができる設立時株主の議決権総数・・・15株
・ 出席した設立時株主の議決権数・・・9株
の場合、普通決議の成立には8株が必要になります。
|
1 |
|
8 |
|
15 |
|||||||||||
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
条件 a |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
過半数8株 |
|
|
|
|
|
|
|
|
||||||||
条件 b |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
9株×2/3=6株 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
||||||
条件 a及びb |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
8株 |
|
|
|
|
|
|
|
|
(例2)
・ 議決権を行使することができる設立時株主の議決権総数・・・15株
・ 出席した設立時株主の議決権数・・・15株
の場合、普通決議の成立には10株が必要になります。
|
1 |
|
8 |
|
15 |
|||||||||||
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
条件 a |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
過半数8株 |
|
|
|
|
|
|
|
|
||||||||
条件 b |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
15株×2/3=10株 |
|
|
|
|
|
|
||||||||||
条件 a及びb |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
10株 |
|
|
|
|
|
|
② 特別決議
株式の譲渡制限に関する定めを設ける場合は、この特別決議により決議します。
(条件)
a 議決権を行使することができる設立時株主の半数以上(株主の頭数)
及び
b 議決権を行使することができる設立時株主の議決権の3分の2以上
(例)
設立時株主・・・6名 設立時発行株式数・・・30株
(全株式につき議決権を行使できる)
(下表ケース 1)
a及びbのいずれの条件も満たしているので特別決議が成立する
(下表ケース 2)
aの条件は満たすが、bの条件は満たしていないので特別決議は成立しない
(下表ケース 3)
bの条件は満たすが、aの条件は満たしていないので特別決議は成立しない
|
|
|
(ケース 1) |
(ケース 2) |
(ケース 3) |
|||
|
設立時株主 |
株式数 |
頭数 |
議決権 |
頭数 |
議決権 |
頭数 |
議決権 |
1 |
Aさん |
16株 |
○ |
16株 |
|
|
○ |
16株 |
2 |
Bさん |
6株 |
○ |
6株 |
○ |
6株 |
○ |
6株 |
3 |
C株式会社 |
2株 |
○ |
2株 |
○ |
2株 |
|
|
4 |
Dさん |
2株 |
|
|
○ |
2株 |
|
|
5 |
Eさん |
2株 |
|
|
○ |
2株 |
|
|
6 |
Fさん |
2株 |
|
|
○ |
2株 |
|
|
|
|
30株 |
3名 |
24株 |
5名 |
14株 |
2名 |
22株 |
③ 設立時株主全員の同意
取得条項付株式を設ける場合は、設立時株主全員の同意が必要になります。
3.決議事項
創立総会においては、その目的事項以外は決議することができません。ただし、定款変更又は設立廃止に関しては、目的事項とはされていなかった場合でも決議することができます。
以下に、創立総会における代表的な決議事項を掲げて起きます。
(1) 設立時役員等の選任
募集設立において、設立時取締役等は創立総会の決議(※)により選任します。
※ 定款で直接定めることもできます。
なお、欠格事由に該当する者など設立時取締役等に選任できないケースに注意が必要です。 そのほか、会計参与や会計監査人には特有の資格制限があります。
① 創立総会において選任する設立時取締役等
設立時取締役 |
設立時会計参与 |
設立時監査役 |
設立時会計監査人 |
必ず選任する |
会計参与設置会社 の場合は選任する |
監査役設置会社 の場合は選任する |
会計監査人設置会社 の場合は選任する |
取締役会設置会社 3名以上必要 |
資格制限あり |
監査役会設置会社 3名以上必要 |
資格制限あり |
② 就任承諾
選任された設立時取締役等は、設立会社に対し、就任承諾の意思表示をすることにより、設立時取締役等に就任します。会社と役員の関係は委任関係に基づくものなので、選任行為に加えて、被選任者の就任承諾の意思表示が必要になります。このときの就任承諾を証する書面は設立登記申請の添付書類となります。
●就任承諾書に押印する設立時取締役と設立時代表取締役の印鑑● |
||
|
設立時取締役 |
設立時代表取締役 |
取締役会設置会社 |
認印 |
実印 |
取締役会非設置会社 |
実印 |
認印(注1) |
(注1) 就任承諾書の印鑑とは異なり、法務局に印鑑を登録する設立時代表取締役については、印鑑届出書(又は委任状)に実印を押印し、あわせて印鑑証明書(3ヶ月以内)を提出します
③ 任期
|
任期 |
公開会社 |
非公開会社 |
||
短縮 |
伸長 |
短縮 |
伸長 |
||
取締役 |
選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで |
○ (注1) |
× |
○ (注1) |
○ (注2) |
会計 参与 |
選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで |
○ (注1) |
× |
○ (注1) |
○ (注2) |
監査役 |
選任後4年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで |
× |
× |
× |
○ (注2) |
会計 監査人 |
選任後1年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで |
× |
× |
× |
× |
(注1) (注2) |
定款や発起人の決議により、短縮することができます。 定款により、「選任後10年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」伸長することができます。 |
||||
◆ 一定の定款変更をする場合、任期の途中であっても、定款変更の効力が生じたときに任期が終了することがあります。 |
④ 設立時代表取締役の選定
取締役会非設置会社の場合、創立総会において設立時取締役を選任し、その設立時取締役のなかから設立時代表取締役を選定することもできます。
設立時代表取締役の選定方法 |
||
|
取締役会設置会社 |
設立時取締役による選定決議 |
|
取締役会非設置会社 |
定款 |
|
|
定款の定めに基づく互選 |
|
|
創立総会の決議 |
|
各自代表 |
(2) 発行可能株式総数
設立時募集株式の払込期日又は払込期間の初日以後においては、発起人全員の同意によっても発行可能株式総数の決定又は変更をすることはできず、創立総会の決議により、決定又は変更をすることになります。
(3) 本店所在場所
定款に、本店の所在地(市区町村)までしか定めていない場合、創立総会の決議により、決定します。
(4) 定款の承認又は変更
創立総会の決議により定款を変更した場合、その変更した部分については、公証人の認証を受ける必要はありません。
(5) 設立廃止
創立総会においては、設立中の株式会社に関して、その廃止の決議をすることができます。
4.発起人の報告
(1) 報告
発起人は、設立に関する事項を創立総会に報告します。
(2) 提出又は提供
発起人は創立総会に対して、以下の事項を記載した書面を提出(電磁的記録の場合はその記録の提供)する必要があります。
① 定款に変態設立事項の定めがある場合
→ 現物出資等を調査した検査役の報告の内容(検査役の調査を要しない場合を除く)
② 現物出資財産等について定款に記載又は記録された価額が相当であることについて弁護士等の証明を受けた場合
→ その証明の内容
5.設立時取締役等の調査
(1) 調査
設立時取締役(又は設立時取締役及び設立時監査役(監査役設置会社の場合))は選任後遅滞なく、次の事項を調査します。
調査事項 |
|
|
◆ 現物出資等にかかる少額財産の価額の相当性 |
|
|
定款に記載(又は記録)された現物出資財産及び財産引受けにかかる財産が、総額500万円を超えない場合、その価額が相当かどうかを調査します。 |
|
|
◆ 現物出資等にかかる有価証券の価額の相当性 |
|
|
定款に記載(又は記録)された現物出資財産及び財産引受けにかかる財産が、市場価格のある有価証券で、その価額が法務省令で定める算定額を超えない場合、その価額が相当かどうかを調査します。 |
|
|
◆ 現物出資等にかかる財産の価額に関する弁護士等の証明の相当性 |
|
|
定款に記載(又は記録)された現物出資財産及び財産引受けにかかる財産の価額に関する弁護士等の証明が相当かどうかを調査します。 |
この財産が不動産の場合、弁護士等の証明及び不動産鑑定士の鑑定評価 |
|
◆ 発起人の出資の履行及び設立時募集株式引受人の払い込みが完了していること |
|
|
金銭の出資の場合は、発起人が定めた払込場所において、払込みがなされたかどうかを調査し、現物出資の場合は、目的財産の全部の給付がなされたかどうかを調査します。 |
|
|
◆株式会社の設立の手続きが法令又は定款に違反していないこと |
|
|
設立手続きに関して、法令や定款に違反する手続きがなされていないかどうかを調査します。 |
|
|
|
|
(2) 創立総会に報告
設立時取締役は上記(1)に関する調査結果を創立総会に報告します。
6.創立総会議事録
創立総会の議事については、その議事録を作成し、創立総会の日から10年間、発起人が定めた場所に備え置き、設立時株主の閲覧等の請求に供することになります。
(1) 記載事項
記載事項 |
|
|
① |
開催日時及び場所 |
|
② |
議事の経過の要領及び結果 |
|
③ |
出席した発起人又は設立時役員等の氏名(名称) |
|
④ |
議長の氏名 |
選任されている場合 |
⑤ |
議事録の作成に関与した発起人の氏名(名称) |
|
|
|
|
(2) 署名、押印
(3) 設立登記の添付書類
この創立総会議事録は設立登記申請の添付書類となります。
● 就任承諾書への援用
創立総会で選任された設立時取締役等がその席上において就任を承諾する旨を述べている場合、この創立総会議事録は就任承諾書を兼ねることができます。
ただし、取締役会を設置していない株式会社の設立時取締役については、その創立総会議事録に実印を押印している場合に限られます。実印以外の印鑑を押印していた場合は、別途、就任承諾書(実印)が必要になります。
お見積もりや手続きに関するお問い合わせは無料
本サイトは 「司法書士本千葉駅前事務所」 が管理・運営をしております。