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設立時取締役等による調査
発起設立の場合、設立時取締役等は選任後遅滞なく、一定の事項を調査し、法令や定款に違反しているときは、発起人にその旨を通知しなければなりません。
1.調査者
設立時取締役
監査役設置会社の場合は、設立時取締役及び設立時監査役です。
2.調査事項
(1) 現物出資等にかかる少額財産又は有価証券の価額の相当性
・ 定款に記載(又は記録)された現物出資財産及び財産引受けにかかる財産が、総額500万円を超えない場合、その価額が相当かどうかを調査します。
・ 定款に記載(又は記録)された現物出資財産及び財産引受けにかかる財産が、市場価格のある有価証券で、その価額が法務省令で定める算定額を超えない場合、その価額が相当かどうかを調査します。
(2) 現物出資等にかかる財産の価額に関する弁護士等の証明の相当性
定款に記載(又は記録)された現物出資財産及び財産引受けにかかる財産の価額に関する弁護士等の証明(不動産の場合、弁護士等の証明及び不動産鑑定士の鑑定評価)が相当かどうかを調査します。
(3) 出資の履行が完了していること
・ 金銭の出資の場合、発起人が定めた払込場所において、払込みがなされたかどうかを調査します。
・ 現物出資の場合、目的財産の全部の給付がなされたかどうかを調査します。
→ 給付(目的財産の引渡し)の調査:財産引継書や現物出資財産の給付書など
(4) 株式会社の設立の手続きが法令又は定款に違反していないこと
設立手続きに関して、法令や定款に違反する手続きがなされていないかどうかを調査します。
3.通知
(1) 発起人に対する通知
設立時取締役等は、前出調査事項を調査し、法令や定款に違反している事由を発見したときは、その旨を発起人に通知しなければなりません。
(2) 設立時代表執行役に対する通知
設立しようとする会社が委員会設置会社の場合、上記発起人に対する通知に加え、設立時取締役等は設立時代表執行役に対して、次のいずれかを通知します。
・ 変態設立事項等の調査を終了した旨
・ 変態設立事項等の調査により、法令や定款に違反するような事項があることを発見し、発起人に通知をしたときは、通知した旨及び通知の内容
4.調査事項報告書の作成
調査の完了後、設立時取締役等は、調査報告書を作成します。
(1) 設立時取締役等全員により作成
設立時取締役(監査役設置会社の場合は、設立時取締役及び設立時監査役)全員で調査報告書を作成します。
(2) 調査報告書
下のサンプルを参照してください。
(3) 登記申請書の添付書類になる場合
調査事項に「現物出資等にかかる少額財産又は有価証券の価額の相当性」又は「現物出資等にかかる財産の価額に関する弁護士等の証明の相当性」が含まれている場合、この調査報告書はその附属書類とともに、登記申請書の添付書類となります。
調査事項が、「出資の履行が完了していること」又は「株式会社の設立の手続きが法令又は定款に違反していないこと」のみの場合、この調査報告書は登記申請書の添付書類とはなりません。
調査報告書
平成 年 月 日株式会社◎◎(設立中)の(※1)設立時取締役及び設立時監査役に(※2)選任されたので、会社法第46条(※3)の規定に基づいて調査をした。その結果は次のとおりである。
調査事項
(少額財産の場合)(※4、※5)
1.定款に記載された現物出資財産の価額に関する事項(会社法第33条第10項第1号に該当する事項)
定款に定めた現物出資をする者は発起人●●であり、出資の目的たる財産、その価格並びにこれに対し割り当てる設立時発行株式の種類及び数は下記のとおりである。
記
不動産
所 在 千葉県●●市●●町○丁目
地 番 ○番○
地 目 宅地
地 積 100.50㎡
定款に記載された価額 金5,000,000円
これに対して割り当てる設立時発行株式 普通株式 株
上記不動産は、時価金500万円と見積もられるべきところ、定款に記載した価額は時価と同額の500万円であり、これに対して割り当てる設立時発行株式の数は普通株式 株であることから、当該定款の定めは正当なものと認められる。
2.発起人●●の引受けにかかる 株について、平成 年 月 日現物出資の目的たる財産の給付があったことは、別紙財産引継書により認める。
3.平成 年 月 日までに払込みが完了していることは、別紙「払込みのあったことを証する書面及びその附属書類」により認める。
4.上記事項以外の設立に関する手続きが法令又は定款に違反していないことを認める。
上記のとおり会社法の規定に従い報告する。
平成 年 月 日
株式会社◎◎
設立時取締役 ㊞
同 ㊞
同 ㊞
設立時監査役 ㊞
(※1) 定款による選任の場合、「株式会社◎◎(設立中)の定款をもって・・・」
(※2) 監査役を設置しない株式会社の場合、「設立時取締役に選任されたので、・・・」
(※3) 募集設立の場合、「会社法第93条」
(※4)(市場価格のある有価証券の場合)
1.定款に記載された現物出資財産の価額に関する事項(会社法第33条第10項第2号に該当する事項)
定款に定めた現物出資をする者は発起人●●であり、出資の目的たる財産、その価格並びにこれに対し割り当てる設立時発行株式の種類及び数は下記のとおりである。
記
有価証券
株式会社◆◆ 普通株式 株
この価額 金12,000,000円
これに対して割り当てる設立時発行株式 普通株式 株
上記有価証券は、時価金1200万円以上であり、当該定款の定める価額は相当なものと認める。
(※5)(弁護士等の証明がある場合)
1.定款に記載された現物出資財産の価額に関する事項
定款に定めた現物出資をする者は発起人●●であり、出資の目的たる財産、その価格並びにこれに対し割り当てる設立時発行株式の種類及び数は下記のとおりである。
記
不動産
所 在 千葉県●●市●●町○丁目
地 番 ○番○
地 目 宅地
地 積 201.00㎡
定款に記載された価額 金10,000,000円
これに対して割り当てる設立時発行株式 普通株式 株
会社法第33条第10項第3号の規定に基づく弁護士等の証明書及び不動産鑑定士の鑑定評価書を受領しており、これを調査した結果、正当であることを認める。
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